2021年10月26日火曜日

コピペ 麻生氏「コメがうまいの温暖化のおかげ」発言 火消しに躍起の政府 毎日新聞 2021/10/26 20:46

 自民党の麻生太郎副総裁が「北海道のコメがうまいのは、農家ではなく地球温暖化のおかげだ」と発言したことが波紋を広げている。北海道を中心に農産関係者の反発は強く、政府・与党は火消しに追われた。

 麻生氏は25日、北海道内であった衆院選候補者の応援演説で「昔、北海道のコメは『やっかいどう米』と言うほどだったが、今はやたらうまいコメを作るようになった」とした上で、品質向上は農家の努力ではなく「温度が上がったからだ。温暖化というと悪いことしか書いていないが、いいことがある」などと述べた。

 しかし、北海道庁などによると、実情がまったく異なる。北海道は特有の厳しい気候に適した品種の開発・改良を数十年にわたって継続し、全国屈指のコメの主産地となった。1988年に登場した「きらら397」をはじめ、「ななつぼし」「ゆめぴりか」といったブランド米も次々と誕生している。

 9月25日現在の北海道の2021年産米の作付面積は10万3300ヘクタール、主食用米の予想収穫量は52万6000トンに上り、いずれも新潟県に次ぐ規模だ。道内の農家で構成する「北海道農民連盟」の大久保明義委員長は26日、「全国でも北海道米が高い評価を得ているのは、全道を挙げてコメの品種改良を重ね、官・民・農が一体となって協力し、地位を確立した結果。生産者の努力と技術をないがしろにするような発言は断じて許されない」と抗議する談話を出した。

 政府・与党は後始末に追われている。松野博一官房長官は26日の記者会見で「コメントは差し控えたい」と沈静化を図った。金子原二郎農相も閣議後記者会見で同様の対応でかわそうとしたが、記者から詰められると「農家の皆さんの努力に尽きる。気候どうこうというより、気候に合ったものを作る努力をした結果、今日がある」と麻生氏の発言を事実上、修正した。

 気候変動はコメの品質にどの程度、影響するのか。拓殖大北海道短大の田中英彦教授(作物学)は「稲が実るには穂が出た後の40日間で、気温が一定の水準に達する必要がある。温暖化が収量の安定化や品質向上に貢献する部分はある」とする一方で、「おいしいコメを生み出すには品種改良や農家の努力など技術の積み重ねが前提になる」と農家の努力を否定する麻生氏の発言は正しくないとの見方を示した。【浅川大樹】


2021年10月18日月曜日

コピペ 安倍、麻生を裏切り総理を操る甘利明・幹事長という「狡猾の人」

 岸田内閣の「影の総理」と呼ばれ始めているのが、甘利明・自民党幹事長だ。これまでキングメーカーの安倍晋三・元首相と麻生太郎・副総裁に忠実に付き従う「3Aトリオの末席」と見られていたが、総裁選と新政権の人事で一気に権力の中枢に駆け上がった。

 にわかに権勢を得た甘利氏の政界での軌跡を辿ると、仕えた"主家"から離れては敵対関係になってきたことが分かる。

 最初に世話になったのは河野家だった。甘利氏の父・正氏は河野一郎・元副総理の子分で、神奈川県議から代議士になり、河野家2代目の洋平氏が自民党を離党して新自由クラブを旗揚げすると行動を共にした。父の地盤を継いだ甘利氏も初当選は新自由クラブだった。甘利氏の先輩議員だった山口敏夫・元労相が振り返る。

「甘利君は勉強家で新人議員時代から官僚を集めて熱心に政策づくりをしていた。ただ、河野洋平はリベラル派の理想主義者だったが、甘利君の父は保守派だったし、若い頃から父の秘書をしてきた甘利君は政治理念より政策に重きを置くタイプで、洋平の政治姿勢に共鳴していたわけではなかった。だから新自由クラブが解党して自民党に復党するとき、洋平は宏池会(現岸田派)に入ったが、私は甘利君を誘って中曽根派に合流した。そのとき政治路線を違えることになった」

 だが、今回の総裁選で甘利氏は政治路線を違えたはずのリベラル派の岸田氏につき、世話になった河野家の3代目の太郎氏の敵に回った。

「河野太郎は新自由クラブ解党のときに洋平について行かなかった甘利君に思うところがあるのかもしれないし、当選回数が上の甘利君にすれば、河野太郎はまだまだ信用が足りないと考えたのではないか」(同前)

 その後、甘利氏は中曽根派から分かれた山崎派に所属し、「政策通」として頭角を現わしていくが、派内で人望があるとは言えなかった。同派議員の元秘書が語る。

「関西の山崎派議員のパーティーで挨拶に立った甘利さんが『私はね、関東より先には行かないんです。遠くのパーティーには参加しないんですよ』としゃべり出した。その自分がわざわざ来たと言いたかったのかもしれないが、高飛車な言い方を関西人は有り難がらない。会場はシーンとして気まずい空気が流れたが、気分を悪くしたのか、甘利さんは挨拶の最後に『本当に来ないんだよ、私は』と捨て台詞を吐き、出席した同僚議員や秘書たちも唖然としていた」

 それでも山崎派ではナンバー2の会長代行に就任し、派閥を継げると考えていた。だが、会長の山崎拓氏は甘利氏ではなく、途中から派閥に入会した石原伸晃・幹事長(当時)に派閥を継がせ、後継者争いに敗れた甘利氏は2011年に側近議員を連れて派閥を割った。このとき旗揚げしたのが甘利グループ「さいこう日本」だ。

 その石原氏が翌2012年の総裁選に最有力候補として出馬すると、甘利氏は再登板を目指す安倍氏の選挙責任者となって石原追い落としに動く。今回の総裁選で河野阻止に動いたのと同じやり方だ。

 総裁選は安倍氏が逆転勝利し、甘利氏は安倍政権で経済再生相を連続4期務めるなど重用され、安倍氏、麻生氏と並んで「3A」と呼ばれるようになった。もっとも、党内には「3Aという呼び方を一番吹聴していたのは甘利本人。総理、副総理と同格であるかのように印象づける自己宣伝が巧みだった」(閣僚経験者)との冷ややかな見方もある。

転んでもただでは起きない

 出世を重ねて絶頂にあった甘利氏だが、2014年のUR都市機構をめぐる口利き疑惑で転落する。

「秘書のせいにはしたくない」という"涙の会見"で大臣を辞任すると、「睡眠障害」を理由に半年近く国会を欠席、姿をくらませた。

 追い打ちを掛けたのが、甘利氏をかばっていた当時の安倍首相が、後任の経済再生相に甘利氏が追い落とした石原氏を起用したことだ。甘利氏が失脚し、代わって石原氏を復権させたのである。

「石原さんに勝ったつもりだった甘利さんにすれば、この人事は屈辱だったはずです。権力者の非情さを思い知らされたのではないか」

 甘利氏に近い議員からは同情する声が上がった。

 しかし、転んでもただでは起きなかった。復権を目指す甘利氏は、今度は甘利グループの子分4人を連れて派閥拡大をはかる麻生派に入会する。「安倍側近」から「麻生側近」へと主を代えた。

 それを機に、麻生氏の後押しで党行革推進本部長、選対委員長、党税調会長と再び出世の階段に戻ることができた。

 そしていま、岸田政権で幹事長として権力を握るやいなや、安倍氏の力を削ぐことで過去の"屈辱"を晴らし、恩人で盟友でもあった麻生氏の棚上げをはかって麻生派の跡目に手をかけるところまできた。

 甘利明という政治家には、裏切り、寝返り何でもありの権力闘争の修羅場をくぐり抜けたしたたかさ、狡猾さをいかんなく見せつけられる。

※週刊ポスト2021年10月29日号


2021年10月11日月曜日

コピペ 文春オンライン  俺たちの岸田文雄が総理になったら社会主義国家めいてきた件について

  9月6日掲載の文春コラム で、私が競馬の出走表の体裁で各総裁選候補の特徴をまとめて総理予想までしたところ、無難に本命としていた岸田文雄さんが勝利されたんですよ。

 や、勝つと思ってましたよ。

 唯一、意外だったのは影響力をいまなお保っている元総理・安倍晋三さんが、打算ではなくかなりガチで高市早苗さんの応援に回っていたことです。そこまでイレ込んでるとは思いませんでした。私もひょっとしたら高市さん議員票いっぱい取って総裁になっちゃうんじゃないか、ってビビりましたね。安倍さんの「超・高市推し」が自民党議員の方にもあっという間に浸透していっていた時期だったので、私も「下手したら河野太郎さんが党員票でコケたら高市さんが決選投票に残るんじゃないか」とすら予想していました。

 蓋を開けてみたら、やっぱり河野太郎さんは強かったわけなんですが、それでも最後の最後で「安倍晋三さんと二階俊博さんが会食をしたところ、本来125票前後の議員票を獲得するはずだった河野太郎さんの票が、30票ほどごっそり高市早苗さんに投票される」という怪現象が発生しました。

 びっくりですね。よもやよもやのですね。結局派閥政治の怖ろしさを最後に見せつけましたね。ということで、議員票では河野太郎さんが高市早苗さんに負けて3位という、冷や飯イーターの泥船船長として名高い石破茂化待ったなしの状況になってしまったのはいい思い出です。

◆ ◆ ◆

支持率も新政権にしては控えめに

 そんなこんなで首班指名があり、組閣されて、岸田文雄内閣が発足しました。

 蓋を開けてみたら、内閣支持率は49%から59%ほどと、控えめな岸田さんのご性格に合わせて支持率も新政権にしては控えめになっています。組閣人事にも、大臣にはちらほらド素人やパワハラ愛好家がバランスよく散りばめられていますが、各省庁の副大臣や政務官にはおのおのの分野に知見を有する中堅や若手が起用されて、下のやつらは俺たちのために超がんばれという方針がしっかりと示された、素晴らしい起用だったと思います。

 で、肝心かなめの経済政策が発表になりました。

 嫌な予感はみんなしてたと思うんですが、案の定、おいちょっと感のある発言がいくつも飛び出して、経済アナリストが椅子から落ちたり、怒った投資家がトレーディング用の液晶モニタを殴って破壊する事件が日本各地で多発したのであります。

岸田文雄さんのいう「新しい資本主義」とは何なのか

〈 私が目指すのは、新しい資本主義の実現です。成長と分配の好循環と、コロナ後の新しい社会の開拓、これがコンセプトです。

 

 成長は引き続き極めて重要な政策テーマです。しかし、成長だけでその果実がしっかりと分配されなければ、消費や需要は盛り上がらず、次の成長も望めません。分配なくして次の成長はなしです。私は、成長と分配の好循環を実現し、国民が豊かに生活できる経済を作り上げていきます。

https://www.kantei.go.jp/jp/100_kishida/statement/2021/1004kaiken.html 〉

 黒煙が上がっていますね。これはアベノミクスとの訣別を意味しますね。

 岸田文雄さんのいう「新しい資本主義」とは何なのか。謎は深まります。

 アベノミクスで目指した「トリクルダウン」は結果としてインチキだったわけですが、企業からすれば市場にジャブジャブお金が流れてくるので、それをアテにして人を雇うという動機が生まれました。長期にわたる安倍政権が穏やかな支持を集められたのも、「給料は上がらないけど、とりあえず仕事はある」ことで我が国経済での働き方の多様化と共にパソナ感ある竹中平蔵路線が続いていき、企業や自治体は3倍の人件費を払うけど人材派遣会社が盛大に中抜きをし、現場にははした金しか給料として行き渡らない日本独自の特徴ある経済が完成したわけであります。良かったね。

 個人的には、派遣会社のピンハネ率を消費者金融に対する利息制限法なみに厳格管理したほうが、最終的に中間層に回るお金の額は多くなるような気がするんですけどね。

 なぜそういう議論にならないんですかね。不思議ですね。

来ましたね、税金つかみ取りのボーナスステージ

 ところが、岸田政権はそこではなく金融所得にメスを入れるでござるよ、これからは成長だけじゃなく分配も大事だよ、と言い始めたわけであります。え、そっち先にやるの。簡単に言えば、マネーが企業から家計へと移る政策を頑張るよという話でありまして、前述のアベノミクスの方針からすれば、ほぼ完全に経済政策の路線変更を企図したものだと言えます。ある意味で小泉純一郎・長期政権から旧民主党政権を挟んで直近の菅義偉政権まで続いてきた構造改革路線の事実上の終焉ぽい雰囲気が出たため、経済界も金融筋も総じてがっかりするのは当然のことです。

 さらに、コロナ経済対策では数十兆円規模という補正予算を「解散総選挙後に」組むよという流れになっており、上記の成長よりも分配という観点から見ますと、素敵なバラマキ政策を予告するような流れです。来ましたね、税金つかみ取りのボーナスステージ。今回はさすがに国民全員にいくら支給という形ではなく、子どものいる世帯に支給とか、求職者に支援金を出すとかいう路線になろうとは思いますが、要するにこれ、大きな政府へと政策をシフトする方向にいきます。

未来が全然明るくねえじゃんかよ

 岸田文雄政権誕生後、日本株が盛大に売り込まれてオケラ街道をとぼとぼ歩む個人投資家がたくさん出現しているわけですが、世界的に見てもエネルギー高騰ショックやアメリカ株の変調などもあって、株価下落の責任全部が全部岸田さんのせいだというつもりはありません。ただ、あまりにも冴えない経済政策を岸田さんが発表するもんで、みんなしょんぼりしている状況なんじゃないかと思います。未来が全然明るくねえじゃんかよ。

 その最たるものは金融所得の課税強化のところでして、みんな「ゲゲェ」と思っておるわけです。もちろん、このアイデア自体は長らく岸田文雄さん自身が務めた自民党・政調会長時代からの主張の一つで、同じく自民税調との間で金融所得への課税を進めようとする岸田さんと羽交い絞めで止める自民党員の間の対立とも言えないこともない歴史が思い出されます。

 まだ金融所得の課税強化については具体的な数値などの細目は決まっていませんが、たぶん現行20%からの引き上げを2022年度の税制調査会で目指す調整を始めるのではないかと予測されています。おい、マジでやるのかよ。

「頑張っても不利」になりかねない

 これまでは、日本経済全体が「貯蓄から投資へ」の流れの中で、みんなで仲良くiDeCoやNISAで積み立てて、「目指せ! 老後資金2000万円!」「人生100年時代の到来や!」とか頑張っていたところに、株価上昇の原動力でもある投資家の投資収益に対してドカーンと課税強化となれば、当然のことながら相場に流れ込んでくるカネは減ってしまいかねないのも自明であります。大丈夫なんですかね。

 これは、いままでどちらかというと立憲民主党や共産党のような左派野党が主張していた政策で、富裕層への課税強化の道筋であることには変わりありません。というか、立憲民主党も数合わせの候補者調整で共産党と野合するぐらいなら、お前らの政策と合致してる岸田政権応援しろよ。いろいろ捗るぞ。

 ただ、岸田政権が金融課税の強化を進めるならば、いま資産を持っている人は引き続きまあまあ有利である一方、これから若い人や起業家が頑張って資産を形成していくぞって観点からすると「頑張っても不利」になりかねないので、イノベーションによる経済合理性の追求や経済成長そのものにはマイナスの影響があるのは間違いありません。それでも岸田さんが「成長よりも分配をするんだ」と主張するなら止めませんが、問題は、これらの経済政策を目玉に選挙戦を戦うにあたり、自民党のマニフェストや公約を取りまとめるのは、新政調会長に就任した高市早苗さんです。

岸田さんの社会主義的な側面が強く見えてくるようになってきました

 その高市さん、月刊「Hanada」で岸田さんと同じく金融課税の強化を主張したものの、こっちはこっちで盛大に馬鹿にされてしまい、しめやかに「物価安定目標2%達成までは、現実的には増税は難しい」とラジオで無事に軌道修正。よくやった、ニッポン放送。しかし、そもそも高市さんもアベノミクスの後継を宣言したのに金融課税の強化で3000億円の財源だと豪語し、岸田さんも総理の方針として打ち出したもんだから、相場では最大風速で11兆円ほど吹き飛んだってのはどう責任を取るつもりなんでしょうか。

 それ以降も岸田さんの国家運営に関する発言は沢山流れてくるわけなんですが、つまるところ、岸田さんはみんなの意見もよく聞いた結果、国内の貧富の格差の解消を目指す経済政策を追求する、という点で非常に左派的、社会主義的な側面がとても強く見えてくるようになってきました。社会主義者は優しい顔つきでやってくる、という過去の事例をそのまま踏襲してしまうのでありましょうか。

 大きくて強い国家が、各種プロジェクトを主導して国富増大、国際競争力強化の産業政策を担うという、ある種の統制経済の方向に政策スライダーを動かし、上手くいったらみんなで豊かになれるけど、駄目だったらみんな一緒に貧乏になろうという上野千鶴子的世界観すらも感じさせるような脱成長経済方針なのかもしれません。

 人の意見をよく聞くので優柔不断で総花的な綺麗事政治になりがち、との前評判のあった岸田文雄さんは、前任の菅義偉さんの失敗を反省して早期解散総選挙でスキャンダルが出る前に勢いのついた支持率で議席を守ろうという思い切りを披露しました。人間、立場が変わると性格も変わるのでしょうかねえ。ともかく岸田さんの英断によって解散総選挙は前倒しになり、一気に慌ただしくなってきました。

 日本人全体を考えて、政治が責任を果たし生活が苦しい人たちにもちゃんと分配するよ、貧困層にも目配せは欠かさないよという岸田さんの政治家としての考えはよく分かります。ただ、であるならば、せめて解散総選挙をやる前に予算委員会を組んでコロナで傷ついた経済対策のための補正予算ぐらいは決めてから選挙をしてほしかった、というのは理想論に過ぎるのでしょうか。

 そして、今日になって岸田文雄さん、いきなり「当面は金融課税の増税は行わない」って言い始めました。日和ってんじゃねえよ。人の話を聞き過ぎる総理、善人なんだか無能なんだかよく分かりませんなあ……。

(山本 一郎)