2022年8月28日日曜日

コピペ 金平茂紀氏 国葬「全国民反対でも閣議決定なら実施」政府見解を批判 「法の番人の現在の実に情けない姿」

 キャスターの金平茂紀氏が27日、TBS系「報道特集」(土曜後5・30)に生出演し、7月に銃撃され死亡した安倍晋三元首相(享年67)の国葬実施をめぐる論議で、政府を厳しく批判した。

 立憲民主党の国対ヒアリングが23日、開催され、政府側からは文科省、内閣府、内閣法制局から官僚が出席。「全国民が国葬に反対しても、閣議決定さえすれば、税金を使って国葬は可能か」といった質問に対し、政府側は「内閣が意思決定すれば、行政はその通りに動く」と答えた。

 金平氏は「安倍元首相の国葬をめぐり、国民の賛否が大きく分かれる中、内閣法制局の担当者が野党ヒアリングでこんな主旨の答弁をしていました。"全国民が国葬に反対しても閣議決定をすれば国葬は実施できる"」と指摘。「かつては法の番人と言われた内閣法制局の現在の、実に情けない姿です」と厳しい言葉で批判した。

 政府は安倍元首相の国葬を9月27日に実施することを閣議で決定したが、全額国費で行われることなどから国民の間で賛否が分かれている。


2022年8月23日火曜日

コピペ 政府が統一教会問題追及へ、韓鶴子を讃えた安倍氏の「国葬」との整合性はゼロ JBpress

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 政府の「旧統一教会問題関係省庁連絡会議」の初会合が、18日に開かれた。

 統一教会(現・世界平和統一家庭連合)のいわゆる霊感商法などの不法行為の相談や被害者救済に、関係省庁が連携して取り組むためのもので、法務省を中心に、警察庁、消費者庁、それに内閣官房孤独・孤立対策担当室が参加。来月から1カ月程度、「相談集中強化期間」として集中的に相談を受け付けることを決めた。期間中は各省庁の担当者らが東京都内の1カ所に集まって、教団をめぐる相談に幅広く対応するという。相談内容は連絡会議に上げて対処するそうだ。

 これにはあらゆる面で、とにかく驚かされた。

被害の実態把握もないまま「閣僚候補」に教団との絶縁迫る

 この初会合に先立ち、岸田文雄首相の指示により連絡会議を主宰することになった葉梨康弘法務大臣は、15日の閣議後の記者会見で、「各省庁でしっかりと情報を共有しながら、実態把握に努めていくことになる」と語っている。

 また、記者から、いわゆる「2世信者」も対象になるのか、との質問には、「もちろんそこは幅広く考えていく」と答えて、対象となることを認めている。

 まず驚いたのは、いまごろ被害の「実態把握」に省庁が連携して取り組むことだ。裏を返せば、政府としてまとまった被害の実態把握が、これまでできていなかったことになる。

 岸田首相は、10日の内閣改造後の記者会見で、統一教会の問題に触れ、「社会的に問題が指摘されている団体との関係については、国民に疑念を持たれるようなことがないよう十分に注意しなければなりません」とした上で、こう明言している。

「国民の皆さんの疑念を払拭するため、今回の内閣改造に当たり、私から閣僚に対しては、政治家としての責任において、それぞれ当該団体との関係を点検し、その結果を踏まえて厳正に見直すことを言明し、それを了解した者のみを任命いたしました」

 そうすると、具体的な被害実態の裏付けも根拠もないまま、「社会的に問題が指摘されている」という曖昧な理由で、統一教会との絶縁を迫ったことになる。

結局は閣僚や党役員にも「濃厚接触者」

 政権の座にある者が、ある特定の宗教団体を名指しして排除することは、憲法違反にあたる。そのことは以前にも指摘した(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71397)。ましてや、統一教会は国が認証した宗教法人でもある。その社会的問題や被害実態の確証もないまま、法的根拠もなく、首相が排除を求めるとは、もはや恣意的とさえ言える。「法の支配」が聞いて呆れる。

 そんな曖昧さだから、時事通信によれば内閣改造で入閣・留任した閣僚の少なくとも7人に、統一教会との接点が判明。連絡会議を主宰する葉梨法相も、過去に統一教会系の雑誌のインタビューに応じていたことを認めている。今回入閣した高市早苗経済安全保障担当大臣は、改造前日に教団との関係を岸田首相に伝えているが、任命方針は変わらなかったという。

 さらには、同時に行われた自民党役員人事でも同じ条件を求めたはずが、経済産業大臣から横滑りした萩生田光一政調会長が、先月の参院選で初当選した、元「おニャン子クラブ」の生稲晃子参院議員を伴って、選挙遊説中に八王子市内の教団関連施設を訪問していたことが発覚。これで責任問題を曖昧にするとなると、世論が納得しないはずだ。

「2世信者」は皆、救済対象なのか

 そして、いわゆる「2世信者」についても救済の対象とする曖昧ぶりだ。

 これは吹聴するマスコミにも問題はあるが、そもそも「2世信者」の定義がいい加減に過ぎる。

 両親がある宗教団体の信者で、そこに生まれた子どもも入信した、あるいは入信させられた時点で、誰もが「2世信者」と言える。それで子どもが信心を得て納得していれば、問題はないはずだ。本人も心が救われて幸せでいられる。まさに「2世信者」として、教団の運営にも積極的に臨み、やがて「3世」や次世代へと教えが受け継がれていく。

 統一教会の場合だと、かつて社会問題化した「合同結婚式」がある。創始者の文鮮明が決めた相手と儀式によって結婚する。先立つ恋愛感情はない。そこに生まれた子どもは不幸だろうか。

 私も、そうして生まれた「2世」を知っている。実は、安倍晋三元首相の襲撃事件のあと、しばらくして会いにいった。正直、心配だった。だが、それも杞憂であったことは、笑顔で仕事をしている姿から知った。やはり家庭が抱えた事情や生い立ちは複雑で、苦労したというが、いまはそこから抜け出し、好きな仕事に就いている。直属の上司にも、私に告白したように内々に事情は伝えたところ、差別されることもなく、むしろ支えられている。決して不幸ではない。

 そうすると問題の本質は、親からの強制によって信者にさせられたり、自由を奪われたり、教育費も教団への献金に充てられて進学を断念したり、人生の選択が失われたり、あるいは親が宗教に依存するあまりに放置されたり、いわば迫害を受けている子どもたちに限られる。それは即ち、親から子どもへの虐待が正体であることを理解していない。この論点に関してはすでに詳述しているが(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71081)、これは統一教会の問題というより、虐待の遠因に親の宗教があるだけで、他の宗教にもあてはまる。

2世が直面する困難は信仰の問題ではなく虐待の問題

 しかも、宗教とはまったく関係がなくても、児童虐待そのものが、家庭内のカルトの構図から引き起こされることも少なくない。たとえば、2019年に千葉県野田市で小学4年生の女児が両親からの継続的な虐待を受けて死亡した事件。

「お父さんにぼう力を受けています。夜中に起こされたり、起きているときにけられたり、たたかれたりしています。先生、どうにかできませんか」と死亡する2年前に、文書で担任に告白していたにもかかわらず、大人が救えなかった事件だ。

 これは家庭内で父親が絶対的な支配者として存在する。暴力や経済的な事情もあって、そこで母親は夫の指示に逆らえない心理的状況にまで追い込まれる。そうしていつの間にか子どもを死に追いやる。事件として発覚して、隷従関係から解放される。そこに共犯者としての母親すらも、被害者としての側面を持つ。これがカルトの構図だ。

 そうすると、最初に戻って「2世信者」として自分が納得していても、傍から見るとカルトであったり、反社会的性質を持つ団体であったりした場合、彼らも被害者として救済対象となるのだろうか。あるいは、親が宗教にのめり込んで結果的に子どもを虐待していたら、親に対してどこまで踏み込めるのだろうか。いずれも宗教の自由に抵触することはいうまでもない。

 まして、この件に関して与党のはずの公明党が黙っていることも驚かされる。支持母体でも親の支配から抜け出せない「2世問題」があることを私は知っている。

 そこに加えて驚いているのは、この統一教会をめぐる問題が、元首相を選挙演説中に背後から襲って命を奪ったテロリストによって、政府までも動かされていることだ。安倍氏を襲った山上徹也容疑者(41)が、逮捕後に「母親がある宗教団体にのめり込み、多額の寄付をして家庭が崩壊したことから団体に恨みを持ち、つながりのある安倍氏を襲った」という趣旨の供述をしていることが伝わり、その宗教団体が統一教会であったことから、世論が巻き起こった結果だ。

 おそらく山上容疑者は、こうなることまで計算したのではなく、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎し」という言い回しがしっくりくる動機で襲撃したのだろう。それでもテロリストに凶行を決意させた胸の内の懊悩が、日本政府を動かしてしまっている。

統一教会総裁を賞賛した安倍氏の国葬を行う一方で、統一教会関連被害の実態調査

 そして、私がもっとも驚いていること。統一教会の問題をめぐる省庁連絡会議は、来月の初旬あたりから1カ月程度の「相談集中強化期間」を設けて、被害の実態の把握に乗り出す。表面化していない深刻な被害がまだまだあることを前提としたものだ。そうすると時間を追うごとに、それも9月の終わりに近づけば、被害の大きさも見えてくるはずだ。

 9月27日には、安倍元首相の「国葬」がある。

 安倍氏は昨年の9月、統一教会の創始者である文鮮明の妻で、現在の教団の頂点に君臨する韓鶴子が、やはり総裁の地位にあるNGO「天宙平和連合」にビデオメッセージを送っている。そこで安倍氏はこう明言していた。

「韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」

 これを見た山上容疑者が安倍氏を襲う決意をしたことも伝えられている。

 政府によって教団による被害実態が明らかになればなるほど、どうして加害者の首領を称讃する言葉を吐いた首相経験者を「国葬」にしなければならないのか、疑問が積み重なるはずだ。いうなれば、国民を蝕む日本の敵に味方する愚か者に、国費を注ぎ込んで国を挙げて葬式を出してやる必要がどこにあるのか。そのウラ取りに、このタイミングで政府が一丸となって邁進する現実。「国葬」という「国恥」を世界にひけらかすようなものだ。

「国葬」を決めた根拠も曖昧なら、やることなすことがちぐはぐだらけで暴走している。こんな首相が台湾有事にどう反応するのか、いまから怖くて仕方ない。