2023年1月24日火曜日

コピペ ニュース裏表 田中秀臣 �開いた口がふさがらない�財務省の言い分、国債償還ルールは不要だ! 「借金漬けで日本の財政状況は深刻」のデタラメ

「ワニの口」という言葉がある。財務省が持ち出した話で、政府の予算である一般会計歳出と税収の差がどんどん拡大し、その差がまるで「ワニの口」のようだ、と表現するものだ。

税収よりも歳出の方が大きいので、その差は「政府の借金」である国債の発行で埋め合わせることになる。しかもこの「ワニの口」は拡大を続けている。つまり財務省は、この「ワニの口」の開き具合が大きければ大きいほど、借金漬けで日本の財政状況は深刻だ、と言いたいわけだ。

この財務省の言い分はデタラメだ。歳出をみてみると、2022年度では、国債の利子支払い分(8兆3000億円)と元本支払い分に相当する債務償還費(16兆円)が計上されている。

だが、エコノミストの永濱利廣氏が指摘するように、国際標準では、後者の債務償還費は予算に計上されていない。米国、英国、フランス、ドイツなどの主要国は、単に利払いしか計上していないのだ。

なぜだろうか。簡単にいえば、国債を返す必要が特段ないからだ。多くの国は国債の償還期限がくれば、借換債を発行して、それで済ませている。言葉は悪いが、借金をまた借金で返済するわけだ。それで何の問題もない。

実際に日本の財政の破綻確率は、先進国の中でもドイツと並んで最も低い。だが、財務省はなぜか元本払いを続けている。それは自分たちで勝手に「国債償還60年ルール」と呼ぶ方針に異常にこだわっているからだ。どんなルールかというと、いまある国債残高を60年後には完済するというものだ。60年という目安は、その昔は公共建築の耐用年数に基づいていたが、景気対策などでも国債は発行するので現在はまったく意味をなさない。

この国債償還を完済するために、日本は「減債基金」と呼ばれる制度を運用している。正式名称は、国債整理基金特別会計だ。ここに毎年度、政府の予算からおカネが流れる。その資金を利用して、国債の償還、つまり借金の精算をしているわけである。だが、主要国の大半はこんな減債基金など持っていない。なぜなら借換債を発行すればすむ話だからだ。

「国債償還60年ルール」とこの減債基金をやめれば、防衛増税も不要だし、また「異次元の少子化対策」や減税もできる。この点を指摘したのは、日本ではエコノミストの会田卓司氏が最初だが、実は元祖がいる。ジョン・メイナード・ケインズだ。彼は減債基金をなくせば、不況を克服する財政政策を行えて、国民経済は繁栄するとした。財務省がこだわるこのルールと基金を否定することが、日本の復活の道だ。 (上武大学教授・田中秀臣)


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